Jul 31, 2013

「会社蘇生」高杉良


そろそろ、金融系以外のものにも挑戦してみたいと思い購入。
(Amazonで見つけました。。。)

時代は昭和60年代、会社更生法が表舞台に出てき始めた頃かと思います。
主人公は弁護士である宮野。彼が管財人として小川商会という戦後3番目に大きな負債を抱えて倒産した会社を、更生開始決定・復活まで導くまでのストーリーを描いている。

どうやら、これはかなり実話に基づいた話のよう。
小川商会は大沢商会、管財人は三宅省三、スポンサーとして登場する西北グループは西武グループといった具合に現実とリンクしている。

管財人という言葉すら聞いたことがなかった私には、かなり勉強になった。

素人頭で不思議に思っていたのだが、何故倒産した会社の名前であったり、商品がそれまでと変わらず流通しているのかという疑問が解決できた。
会社更生法適応までの過程は、実務的に見てとても面白い。
宮野と彼のチームの努力、破産という憂き目にあっても頑張り続ける社員の姿は頑張ろうという思いにさせてくれる。
そして、更生開始が決まったときは、読んでいる私までも達成感を感じてしまった。

驚いたのは、弁護士である管財人が経営者(のように)として破産した会社の再生に携わることである。「宮野先生は弁護士にしておくにはもったいない」と作品のセリフにもあるが、まるで敏腕社長のようであった。
また、交渉の場面も勉強になる。駆け引き、会話の運び方等は小説であるのだが、参考にしたいと思うほどである。

と、ここまで良い点だが、残念な点も幾つか。
ストーリー性に乏しい内容にもなっている。人の葛藤であったり、抱えている過去等のしとりした部分がなかった。また、サプライズ的な展開もなく、ビジネスを粛々と遂行しているようにも取れる。
この部分がもっと良ければ、のめり込むこともできたのかもだが。そこまでは至らなかった。

ただ、会社更生法について、簡単に勉強できる本ではあると思う。

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