"not lagging in diligence, fervent in spirit, serving the Lord, rejoicing in hope, patient in tribulation, continuing steadfastly in prayer, distributing to the needs of the saints, given to hospitality. " Romans 12:11-13
Apr 30, 2013
「獅子のごとく」黒木亮
またもや、ブックレビュー(書評)になります。
(すんません。最近、本ばかりよんでるもので・・・・・・)
これは、多分「巨大投資銀行」と「トップレフト」に続く3つ目の黒木亮作品になります。(「エネルギー」も読みましたが、金融系ではないので、ここでは触れません。)
内容としては、主人公の逢坂(多分、ゴールドマン日本法人の社長持田氏がモデル)が自分の家族の商売・家を取り上げた東都銀行への復讐の執念で、エイブラハム・ブラザーズという外資投資銀行でパートナーまで登りつめていくというストーリー。
顧客を接待漬けにし、違法ぎりぎりの行為をも厭わず行い、ディールを獲得し、着々とj自らの地位を固め、敵は徹底的に排除していく姿はまさに「獅子」そのもの。
一見華やかな世界の投資銀行というビジネスですが、(日本が特殊なのかは分からないですが)かなり泥汚い現場が書かれています。といっても、これはネットで見ると、ある程度からは誇張されている感じがあるようですが。。。
感想としては、ちょっと寂しい感じがしました。
というのも、エンディングも「えっ、これでいいの?」と思わせるようなものでしたし、内容的にも前に読んだ二作品と比べると、薄い感じがしました。
「薄い」というのは、勉強できる箇所が少なく、人間ドラマの面がかなり強くなっています。
個人的ですが、こういったビジネス小説的なものに、自分の知らない世界のことを勉強させて欲しいという期待感を持ってるんです。そして、「巨大投資銀行」なんかはそういった側面も多く持っていましたから、同様の期待感でこの作品を読んでしまったのが行けなかったかもしれません・・・・・・
もっと、こうシ団の組成の過程とか、ネゴシエーションの現場、金融商品のカラクリ的な部分などを見せて欲しかった。
週刊雑誌的な面が多く、知的には満足とまではいきませんでした。
ただ、これさえ読んでいれば、就活期にあんなに外資のIBとか受けなかったのにと後悔。むしろ最近は、トレーダーの方が自分にはあってたななんて、夢を見てます。
Apr 28, 2013
「地熱が日本を救う」真山仁
今回は、連続になる真山仁の作品、「地熱が日本を救う」です。
タイトルの通り、地熱発電についての新書になります。
以前に小説「マグマ」(ドラマ化もされましたね)で地熱を扱って以来の、電力についての作品になります。
さて、結論からすると、「マグマ」を読んでいれば十分です!!
初めて、若干ではありますが、真山さんの作品で残念な思いをしました。
(そもそも新書なので、小説と同じ期待はしない方が良かったのかもしれません。)
ただ、内容的にあまり訴えかけてくるものがありませんでした。
地熱が日の目を見ない時代→原子力の台頭→新エネに注目/ただし地熱は無視される
→原子力ルネッサンス→震災→地熱のチャンス到来
という時代を追っていくわけですが。
正直、(極めて個人的ですが)こんなことは、分かりきったことでした。
所々、豆知識が入っていて、勉強にはなりましたが、もっとこう真山さんの主張を入れ込んで欲しかったという感じです。
更に欲を言えば、もっと深い取材を通しての視点、論点が欲しかった。
地熱に関しての一般論に終始してしまった感じでした。
地熱の抱える問題で、天然記念公園や温泉組合などは、知らないほうが勉強不足。(勿論、その勉強のために書いているので、的はずれな批判なのですが・・・)
個人的には、地熱に対してまだ懐疑的な方だと思っています。
地熱は再生可能エネルギーの中で唯一、安定供給が可能で、ベース電源となりうる。そして、コジェネの観点からも、かなりの効率を持っている。そして、なんといっても日本は、世界でもトップレベルの地熱量を持っている。
以上が真山さんの主張です。
その通りなのですが、やはりコストがネックなのかと思います。
プロジェクト年数と発電容量を考えると、どうしても地熱よりも太陽光や風力が魅力的に映ってしまうと思います。
私は、原子力と同じように、地熱に関しては、官がもっと積極的に関わっていくべきではないかと思います。
勿論、再生可能エネルギー固定価格買取制度は地熱の買取単価を高めに設定し、民間の投資を促すというものになっていると思います。ただ、プロジェクトの規模が企業にとってはまだまだ魅力的ではないのかと思います。
10万キロワットそこらの容量では、もちろん水力や太陽光に比べ、その安定性を鑑みると、素晴らしい電源だなと思います。
ただ、10万キロワットをプロジェクト単位で見たときに、IRRは約13%に設定されている。確かにこれは、他の単価設定よりも高め。
しかしですよ、如何せん太陽光と比べ動き出しているプロジェクト数が違うのです。それはやはり、プロジェクトとして、投資対象としての魅力に欠けているとうことなのではないでしょうか。
なので、むしろ政府系ファンドであったりが、イニシアチブを取ってプロジェクトを組成していくべきではないかと思う。プロジェクトファイナンスの例は太陽光では既にあるわけで、年金とかも動かせるなら、かなり可能性はあると思います。
結論からすると、皆さん「マグマ」の方が面白いですよ!!!
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